為替相場はいつ円安になるか

FX投資家待望の金利差狙いのキャリートレードはいつか

FX投資家からスワップという言葉が聞かれなくなり、はや2年以上たっている。2009年のリーマンショックまで為替市場をにぎわせていたミセスワタナベによる外貨買い、円安要因は今は全くなりをひそめてしまった。現在は1ドル70円の円高にFX投資家は苦しんでいる。キャリートレード再開はいつか?またそのような為替相場は来るのか?そのタイミングと、今後の為替相場展開と、理由などを予想してみたい。

 

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介入後、市場の不安心理が後退

過度な円高に対応したG7の円売り協調介入は、市場にサプライズと介入警戒感を与え、投機的な円高の是正に奏功した。東日本大震災と原発事故が日本の経済的損失を著しく大きくするとの懸念が、リスク回避の円買い(あるいは日本企業の外貨資産売りへの思惑による円買い)によって急速な円高を招いた。

 

それだけでなく、他国経済にも大きな悪影響を及ぽすとの懸念から世界的に急速な株安を招いていた分、「円高とリスク回避の相乗作用による悪循環」は早期に抑制すべきとの考えで主要先進国が一致したのだろう。協調介入後は、為替が円安方向に戻ったのに加えて、世界的に株価が反発するなど、市場の不安心理が後退した。

 

世界経済の拡大が続くとの見方が回復し、市場の大局(全体)観がリスク選好に戻りつつある。そして、リスク選好は低金利通貨売り・高金利通貨買いによる円安効果を生み始めている。新興・資源国通貨などの高金利通貨に対するクロス円レートに関しては、すでにリスク選好の円安が明確化しているが、ドル円についても円安が進み、ついには地震発生直前よりも円安になった。これは、リスク選好の円売りだけが原因ではない。2月下旬から3月中旬にかけて低下した米国金利か再び上昇し、ドル買い要因となり始めたからだ。

 

2月下旬には、リビア情勢緊迫化による原油高騰が、米国の期待インフレ率を高める一方で、景気に悪影響を与えるとの懸念から実質金利をそれ以上に押し下げたため、名目金利は低下した。また、3月中旬には、東日本大震災や原発事故が世界的な経済不安を生み、米国の名目金利と実質金利は一段と低下した。

 

しかし、G7の協調介人後、米国の名目および実質金利は、ともに反発・上昇した。不安心理が和らいでリスク回避の債券買いが収まったことだけが理由ではない。米国の雇用が改善しているうえに、消費者物価が前年比で2%を超え、米連邦準備理事会(FRB)が望ましいと考えるインフレ率を上回ったためか、「量的緩和第2弾(QE2)を6月末以降は延長すべきでない」とする米金融当局者が増えていることも背景にある。

通貨先物市場はいまだに円買い

原油高騰と日本経済悪化は米国経済にとってリスク要因である。ただし、ガソリン高が米消費者心理に悪影響を与えてはいるか、多国籍軍の介入によりリビア情勢の悪化と原油高が抑えられ、雇用改善によって米個人消費の拡大が維持される可能性は高い。

 

震災の影響で日本経済の悪化は免れないが、国内の需要よりも供給(生産)の減少が大きく、日本の純輸出(輸出一輸入)は減るだろうから、米国経済への悪影響は限定的とも考えられる。よって、FRBは米国景気の回復に大きな変化はないとみて、4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)時にインフレ見通しを大幅に上方修正する可能性が高い。6月のFOMCでQE2の終了を決定するとともに、異例に低い金利が「長期間」正当化されるとの文言を削除する可能性もある。

 

市場はFRBの姿勢変化に反応して、米国の利上げに対する期待を高めていくだろう。現時点で、米政策金利(FF)の今後1年間の平均値は0.25%強と予想されているが、半年後に0.5%への利上げが期待されるようになれば、同平均値は0.5%に近づくことになる。日本は震災の影響で経済が低迷し、長期間にわたり低金利政策を余儀なくされるだろうから、今年半ば以降には日米金利差が拡大して、1ドル=90円水準に達する可能性が十分にある。

 

通貨先物市場において、いまだに円買い・ドル売り状態にあることも、ポジション解消による円売り・ドル買い余地が大きいことを示している。「世界経済拡大」と「日本経済低迷」の組み合わせは、大局(全体)観における「リスク選好の円安」と、相対観における「日本売りの円安」を同時に生むことになる。海外金利が上昇していく中で日本の金利だけが低位に取り残され、リスク選好時に円か今まで以上に売られやすくなるだろう。

70円台へのシナリオ

「明日の朝、仕掛ける」

 

小林のもとに、NYの為替仲間のスミスから連絡が入ったのは、3月16日の夜。その時ドル/円は、2010年11月1日に付けた直近の最高値80.23円をブレークしようとしていた。

 

「歴史をつくるんだ」と、スミスは電話の向こうで意気込んでいた。「どのような手口だ?場合によっては手伝ってもいいぞ」「まずは話を聞いてくれ」スミスは話し始めた。 「NZ市場が開いたところで、ドル/円を売る。参加者が少ないので79.75円を割り込めば、ドルの下落スピードは勢いを増すはずだ。ディーラーの中には、自分か新高値一番乗りになりたいとうずうずしている仲間が多い。勢いがっけば、このアイディアに賛同している同士とキャッチボールする。目標は5%だ」

 

スミスには絶対の自信があった。昨年11月1日に同じ手口で成功したからだ。

 

2011年3月17日、午前5時o5分、ついに79.75円を突破。「いよいよ始まったか! これからは未知の世界だ」小林は身構えた。79.20円でいったん止まったが、6時12分には一気に79円を割った。2分後に78円を突破。6時19分には77円も割り込み、6時21分には76.25円まで円は買われた。わずか9分で3円もの急騰劇だ。スミスが言っていた目標の5%を越えたと思ったらすぐにドルは77円台に戻った。

 

「戻りも早いな」あっけにとられていた小林に、「どうだ、儲けたか?」スミスが電話してきた。

 

「どうしてこんなにうまく市場を操作できたのだ?」

 

「仕掛けの成功の条件が整っていたからだ。不安定な経済情勢に円資産への逃避という市場の風、震災の底が見えない不安。そして薄商い市場での一斉売り注文が効果を高めた」

 

「それに今回はさらに決定的な材料があった。日本のミセス・ワタナベが79.75円でロスカットをたくさん入れていること。日本の企業が、円高になると損失が膨らむ為替商品を多額に持っていて、その水準を突破すればロスカットの円買いが多く出ることだ」

 

そして、耳の痛いことを言われた。

 

「これはすべて日本の情報だ。日本のディーラーは、どうしてわかりきったことを実行しないのか?不思議だ!」

 

「それは‥・」と、小林が言葉に詰まっていると、

 

「こちらのディーラーは、いつも獲物を追いかけている。ディーラーは個人戦だ。自分がやらなければ、いずれ誰かがやる。燃える材料がいっぱいあっても火付けがなければ火はつかない。今回は自分が火を付けたのだ。儲けのチャンスをみすみす他人に渡したくない。それを自分がやったまでだ」

 

小林は道義的には納得いかなかったが、これも外国為替市場だと受け入れざるを得なかった。こんな個人主義的考えに疑いすら持たない相手と勝負していることに怖さを感じた。

 

翌日、協調介入が出たところで、スミスに探りを入れた。

 

「これで円高にはなりにくくなったと思うが、どうするつもりだ?」

 

「たしかに円高騒動は収まったように見えるが、まだ終息していない。介入基準相場はあるのか、欧米各国が介入を続けるのか、どれだけ本気に日本を救おうとしているのか・・・当局の真剣度を探る時がもう一度来るはずだ」
今度は、小林のディーラー魂に火が付いた。